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日別アーカイブ: 2025年6月23日

小浜あぐりの米米日記~ミナミノカオリ~

皆さんこんにちは!

 

小浜あぐり合同会社、更新担当の中西です。

 

 

 

【国産パン用小麦の実力】

西日本の大地で育つ「ミナミノカオリ」の魅力と可能性

 

 

 

国産小麦といえば、「うどん用」や「中力粉」のイメージが強いかもしれませんが、
実はここ数年で、“パンに適した国産小麦”の開発が大きく進化しているのをご存じでしょうか?

今回ご紹介するのは、西日本で栽培できる硬質小麦「ミナミノカオリ」


パンはもちろん、中華麺や醤油の原料としても活躍するこの品種には、新たな国産農業の可能性が詰まっています。


◆ 「ミナミノカオリ」とは?

 

「ミナミノカオリ」は、農研機構(旧:農業・食品産業技術総合研究機構)によって開発された、
**西日本向けの硬質小麦品種(パン用強力粉原料)**です。

その血筋はユニークで、アルゼンチン産の強力小麦を父系に持つことで、
温暖な日本南部でもしっかりと実り、しかも高タンパクな実をつけるという、
まさに「国産小麦の中でも異彩を放つ存在」です。


◆ 特徴①:パンにぴったりの高タンパク・高グルテン

 

一般的な国産小麦は、タンパク質含有量がやや低く、パンづくりには不向きとされてきました。
しかしミナミノカオリは、

  • タンパク含量:12〜14%

  • グルテンの弾力性が高く、しっかりした膨らみを実現

  • 噛みごたえ・香り・風味のバランスも◎

という特徴を持っており、**“国産小麦でもふっくらパンが焼ける”**と、ベーカリー業界や家庭パン職人から高く評価されています。


◆ 特徴②:麺類や醤油など多用途に展開できる

 

ミナミノカオリの活躍は、パンだけにとどまりません。

  • 中華麺や素麺に使うと、コシのある弾力食感に仕上がる

  • 強いグルテン構造で、のびにくく煮崩れにくい

  • 小麦こうじとしても利用でき、醤油や味噌の発酵原料にも適性あり

つまり、「食卓のあらゆるシーン」に活用できる国産素材として、加工業者からの引き合いも強いのです。


◆ 特徴③:西日本の気候に適応した“つくりやすい小麦”

 

農家目線でも、ミナミノカオリは魅力的な品種です。

  • 暖地・中間地でも安定して栽培できる

  • 倒伏に強く、収量も比較的良好

  • 病害にも比較的強く、管理のしやすさも評価ポイント

これまで「北海道や東北でしか無理」とされていた強力小麦栽培が、九州・四国・関西などでも現実的にできるようになったのは、この品種の登場が大きいと言えます。


◆ ミナミノカオリの活用事例

 

  • 福岡県・佐賀県・香川県などでブランド小麦として普及中

  • 「ミナミノカオリ100%食パン」「地元産バゲット」など商品化が進む

  • 地元ベーカリーやラーメン店、醤油蔵との連携も拡大中

こうした取り組みは、地産地消・地元ブランド化・農業と加工業の連携強化という点でも非常に重要です。


◆ まとめ:ミナミノカオリは“日本のパン文化”を広げる鍵

 

「ミナミノカオリ」は、単なる新しい小麦品種ではありません。
それは、日本の南の大地から、パン文化を広げる起爆剤でもあります。

国産小麦の価値を見直し、
農業者・製パン業者・消費者が手を取り合って、
「安心・美味しい・地元の味」を一緒につくっていく。
そんな未来の食卓を描ける可能性を、この小麦は秘めているのです。

 

 

次回もお楽しみに!