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月別アーカイブ: 2025年6月

小浜あぐりの米米日記~ミナミノカオリ~

皆さんこんにちは!

 

小浜あぐり合同会社、更新担当の中西です。

 

 

 

【国産パン用小麦の実力】

西日本の大地で育つ「ミナミノカオリ」の魅力と可能性

 

 

 

国産小麦といえば、「うどん用」や「中力粉」のイメージが強いかもしれませんが、
実はここ数年で、“パンに適した国産小麦”の開発が大きく進化しているのをご存じでしょうか?

今回ご紹介するのは、西日本で栽培できる硬質小麦「ミナミノカオリ」


パンはもちろん、中華麺や醤油の原料としても活躍するこの品種には、新たな国産農業の可能性が詰まっています。


◆ 「ミナミノカオリ」とは?

 

「ミナミノカオリ」は、農研機構(旧:農業・食品産業技術総合研究機構)によって開発された、
**西日本向けの硬質小麦品種(パン用強力粉原料)**です。

その血筋はユニークで、アルゼンチン産の強力小麦を父系に持つことで、
温暖な日本南部でもしっかりと実り、しかも高タンパクな実をつけるという、
まさに「国産小麦の中でも異彩を放つ存在」です。


◆ 特徴①:パンにぴったりの高タンパク・高グルテン

 

一般的な国産小麦は、タンパク質含有量がやや低く、パンづくりには不向きとされてきました。
しかしミナミノカオリは、

  • タンパク含量:12〜14%

  • グルテンの弾力性が高く、しっかりした膨らみを実現

  • 噛みごたえ・香り・風味のバランスも◎

という特徴を持っており、**“国産小麦でもふっくらパンが焼ける”**と、ベーカリー業界や家庭パン職人から高く評価されています。


◆ 特徴②:麺類や醤油など多用途に展開できる

 

ミナミノカオリの活躍は、パンだけにとどまりません。

  • 中華麺や素麺に使うと、コシのある弾力食感に仕上がる

  • 強いグルテン構造で、のびにくく煮崩れにくい

  • 小麦こうじとしても利用でき、醤油や味噌の発酵原料にも適性あり

つまり、「食卓のあらゆるシーン」に活用できる国産素材として、加工業者からの引き合いも強いのです。


◆ 特徴③:西日本の気候に適応した“つくりやすい小麦”

 

農家目線でも、ミナミノカオリは魅力的な品種です。

  • 暖地・中間地でも安定して栽培できる

  • 倒伏に強く、収量も比較的良好

  • 病害にも比較的強く、管理のしやすさも評価ポイント

これまで「北海道や東北でしか無理」とされていた強力小麦栽培が、九州・四国・関西などでも現実的にできるようになったのは、この品種の登場が大きいと言えます。


◆ ミナミノカオリの活用事例

 

  • 福岡県・佐賀県・香川県などでブランド小麦として普及中

  • 「ミナミノカオリ100%食パン」「地元産バゲット」など商品化が進む

  • 地元ベーカリーやラーメン店、醤油蔵との連携も拡大中

こうした取り組みは、地産地消・地元ブランド化・農業と加工業の連携強化という点でも非常に重要です。


◆ まとめ:ミナミノカオリは“日本のパン文化”を広げる鍵

 

「ミナミノカオリ」は、単なる新しい小麦品種ではありません。
それは、日本の南の大地から、パン文化を広げる起爆剤でもあります。

国産小麦の価値を見直し、
農業者・製パン業者・消費者が手を取り合って、
「安心・美味しい・地元の味」を一緒につくっていく。
そんな未来の食卓を描ける可能性を、この小麦は秘めているのです。

 

 

次回もお楽しみに!

 

小浜あぐりの米米日記~フクユタカ~

皆さんこんにちは!

 

小浜あぐり合同会社、更新担当の中西です。

 

 

 

【豆腐づくりに最適!】

高タンパク大豆「フクユタカ」の魅力と実力に迫る

本日は、大豆の品種の中でも特に「豆腐に向いている」と評価される、**フクユタカ(福豊)**という大豆品種についてご紹介します。

豆腐・油揚げ・納豆など、日本人の食卓に欠かせない大豆製品。
その美味しさと品質を左右するのが、実は「どの品種の大豆を使っているか」によって大きく変わるのです。


◆ フクユタカとは?

 

フクユタカ(福豊)は、1990年代から全国的に栽培されている高タンパク大豆品種です。
その名のとおり「福(幸福)」と「豊(豊かさ)」を兼ね備えた、まさに“縁起のいい大豆”。

主な栽培地域は:

  • 九州(特に福岡・佐賀・熊本)

  • 四国地方

  • 関西以西の温暖な地域

として広く根づいており、収量性の高さ・加工適性の良さ・安定した品質から、豆腐屋さんや食品メーカーからも長年にわたって支持され続けています。


◆ フクユタカの特徴①:高タンパクで固まりやすい!

 

フクユタカ最大の特徴は、なんといっても**タンパク質含有量の高さ(約43〜45%)**です。
これは、一般的な大豆(40%前後)と比べても、非常に高水準!

タンパク質が多いと何が良いのか?

➡ 豆乳をにがりなどで固める際、豆腐としての“凝固力”が高くなるため、
しっかりとした硬さ・密度のある豆腐がつくりやすいのです。


◆ フクユタカの特徴②:収率が高い=コスパ抜群!

 

豆腐づくりの現場では、「大豆からどれだけ豆腐が取れるか=収率」も重要な指標です。

フクユタカは、吸水性が良く、搾った際の豆乳濃度も高いため、製品収量が多くなる傾向があります。
つまり、同じ量の大豆を使っても、“取れる豆腐の量が多い”=コストパフォーマンスが高いというわけです。

そのため、大量生産を行う豆腐メーカーや食品加工業者にとっても非常に扱いやすい品種といえます。


◆ フクユタカの特徴③:クセのないバランスのとれた味わい

 

フクユタカは高タンパクながらも、風味がマイルドでクセが少ないのも特徴のひとつ。

  • 大豆臭さが抑えられている

  • 舌触りがなめらかで口当たりが良い

  • 塩・出汁など他の素材との調和性が高い

といった点から、絹ごし・木綿どちらにも適応できる万能型
さらに、油揚げ・がんもどき・厚揚げなどにも加工しやすく、プロの現場でも重宝されています。


◆ フクユタカ栽培のポイントは?

 

農家目線で見ると、フクユタカには以下のような栽培メリットがあります:

  • 生育が安定しており、多収性

  • 病害に比較的強く、倒伏にもやや耐性あり

  • 熟期が早めなので、二毛作にも組み込みやすい

一方で、「粒ぞろい」や「色ムラ防止」などには丁寧な管理が求められるため、適期播種・適正施肥・収穫タイミングの見極めがカギとなります。


◆ まとめ:フクユタカは“現場で選ばれる”理由がある

 

豆腐職人・加工業者・農家、それぞれの立場から見ても、
フクユタカは**「収量が高く、加工しやすく、美味しい豆腐ができる」三拍子そろった優等生大豆**です。

これから豆腐づくりにチャレンジしてみたい方、あるいは新たな大豆品種をお探しの農家さんにとっても、
**「まずはフクユタカを使ってみる」**というのは間違いのない選択と言えるでしょう。

高品質な豆腐を支える、目立たぬ主役――
それがフクユタカなのです。

 

 

 

次回もお楽しみに!