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月別アーカイブ: 2025年9月

小浜あぐりの米米日記~“やりがい”~

皆さんこんにちは!

小浜あぐり合同会社、更新担当の中西です。

~“やりがい”~

 

1|いま強い“ニーズ”はここにある 🎯

① 収益安定の仕組み化(リスク分散)

  • 複合作付:米×麦×大豆で価格・天候を分散。

  • 契約販売の拡充:パン・麺用小麦、醸造用米、加工米など用途別に長期契約

  • 保険+在庫戦略:収入保険/共済+貯蔵・乾燥設備の最適化でキャッシュフローを平準化。

② 品質の作り込み(高付加価値)

  • たんぱく・水分・千粒重の狙い値管理(麦)/食味値・白未熟粒率の抑制(米)。

  • 低温乾燥・ロット分け、単一圃場表示で“物語+数値”の両輪。

③ スマート化・省力化

  • GNSS自動操舵、可変施肥・可変播種、ドローン散布。

  • センサー×作業記録で倒伏・病害・刈取最適期を予測してロス低減。

④ 環境対応・脱炭素

  • 間断灌漑(AWD)・中干しでメタン抑制(米)。

  • カバークロップ・堆肥循環で土壌有機炭素を回復。

  • 取引先のESG要件に対応する環境指標の見える化

⑤ 直販・関係性販売

  • 定期便・サブスク、ブレンド設計(雑穀・もち麦)、加工品(米粉・麦茶・クラフト麦)。

  • SNS/ECで栽培暦・分析値・圃場写真を公開し信頼を醸成。


2|バイヤー別「刺さる提案」ひな形 💡

  • 製粉・製麺業者向け
    目標たんぱく○%、落下数値、灰分の範囲/降雨時の収穫基準/サンプリング頻度を仕様書化

  • 酒造・飲料向け
    精米歩合別の割れ率、心白割合、貯蔵温度管理表、年次再現性の実績を提示。

  • 量販・EC向け
    単一圃場・単一品種・低温乾燥温度の公開、定期便の欠品保障、季節の便り同梱。


3|“選ばれる農家”の運用型テンプレ 📐

  1. 3プラン販売:ベーシック(家庭用)/セレクト(食味上位ロット)/プロユース(仕様指定)。

  2. LCC視点の投資計画:乾燥機・貯蔵庫・選別機の燃料・歩留り・人件費まで年額換算。

  3. 品質ダッシュボード:たんぱく・水分・食味値・クレーム率を月次で見える化。

  4. 気象×作業ログ連携:播種・追肥・防除・落水日を次年の処方箋に反映。

  5. 訪問・見学の受け皿:B2Bバイヤーの圃場見学用に1時間の標準アジェンダを用意。


4|現場が感じる“やりがい”ベスト8 🏅

  1. 季節に寄り添う仕事:播種の匂い、登熟の風、刈り取りの音――自然のリズムと働ける。

  2. 数値で成果が見える:たんぱくが狙い値に乗った、食味が上がった――努力がデータで返る。

  3. 地域を支える誇り:学校給食や地元パン・地酒に自分の作物が入る喜び。

  4. 技術が武器になる:水管理・施肥設計・品種選択――職人技と科学の融合。

  5. お客様の“おいしい”が直球で届く:直販やSNSの感想が次の栽培意欲に。

  6. 家業から企業へ:チームで役割分担し、仕組みで強くなる実感。

  7. 挑戦がそのまま価値:もち麦・米粉パン・無洗米など新規格が市場を広げる。

  8. 次世代に渡せる仕事:土と設備、取引関係という“資産”を育てられる。


5|KPI例(中規模・複合経営向け)📊

  • 反収(麦・米)/食味値/規格外率

  • たんぱく・水分の狙い値達成率(麦)/白未熟粒率(米)

  • 可変施肥面積比率/燃料原単位(L/ha)

  • 直販比率・リピート率・クレーム率

  • 収入保険加入率・契約販売比率

  • メタン削減(推定)/土壌有機炭素の年変化


6|“価格競争”を避ける差別化ポイント 🧭

  • ロットの設計:圃場・収穫日・乾燥条件ごとにロット分け、仕様書を同梱。

  • 環境値の提出:AWDの施行日数、窒素原単位、CO₂削減見込みを一枚資料で。

  • 食品安全の徹底:残留農薬・金属異物・防鳥対策・異物混入防止の手順書提示。

  • 体験価値:田植え/稲刈りイベント、試食会、パン・麺の共同開発


7|そのまま使える提案トーク🗣️

「うちは“数値と物語”の両方をお届けします。
麦はたんぱく○%±0.3レンジ、米は食味値○点以上を狙って設計。
乾燥温度・ロット・AWD実施記録まで開示し、欠品時の代替ロットも事前にご用意します。」


8|まとめ ✨

ニーズは「収益安定(複合化・契約)」「品質作り込み」「省力スマート化」「環境対応」「関係性販売」。
やりがいは「季節と生きる実感」「数値で返る成長」「地域を支える誇り」「技術で勝てる喜び」「次世代に渡せる資産づくり」。

今日できる一歩は――

  • ロット管理表と品質ダッシュボードを作る、

  • B2B向け仕様書&見学アジェンダを整える、

  • AWD・可変施肥など一つの技術テーマを導入して成果を可視化する。

小さな仕組み化が口コミを生み、**“あの農家なら安心”**を地域と市場に根づかせます

 

 

小浜あぐりの米米日記~“変遷”~

皆さんこんにちは!

小浜あぐり合同会社、更新担当の中西です。

~“変遷”~

 

1|日本の食卓を支えてきた二枚看板

日本の主食である米、そして輪作や冬作の柱である麦(小麦・大麦・はだか麦)。
二つの作物は、気候・制度・技術・消費トレンドの波を受けながら、地域ごとに最適解を探って進化してきました。


2|戦後〜高度成長期(1950s–1970s):増産と機械化の時代 🚜

  • 政策背景:食糧増産が国是。灌漑整備・圃場整備(区画拡大・基盤強化)が全国で加速。

  • 機械化:手作業→動力耕うん機→トラクター、田植機・コンバインの普及で生産性が飛躍。

  • 品種:米は「コシヒカリ」など多収・良食味系が普及。麦は耐倒伏・多収品種へ。

  • 営農:東北~九州の水田地帯では**水稲+裏作麦(二毛作)**が一般的に。
    → ゴールは“量”。労働投入の削減と単収アップが至上命題でした。


3|1970s–1990s:過剰米と減反、品質競争へ 🎯

  • 転機:米の需要減で生産調整(減反、1970開始)。水田の多角利用(飼料作物、麦・大豆)が奨励。

  • 品質シフト:量から食味へ。米は「あきたこまち」「ひとめぼれ」「きぬむすめ」など地域色が強化。

  • 麦の役割:水田転作の受け皿として再評価。小麦・大麦の作付が拡大、乾田化・圃場排水の技術が進む。

  • 93年の冷夏(平成の米騒動):供給リスクが可視化され、産地間連携と備蓄の重要性が共有。
    → “誰が・どこで・どんな品質を安定供給できるか”が競争軸に。


4|2000s:大規模化と産地ブランドの確立 🏷️

  • 担い手集約:農地の貸借が進み、法人化・営農集団・担い手農家が台頭。北海道では大区画・超大規模の麦・米複合が定着。

  • ブランド米:「つや姫」「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」など銘柄戦略が花開く。

  • 麦の転機:パン用小麦の品質向上(たんぱく・グルテン)やビール・焼酎原料として用途別契約が広がる。

  • 販売:直販・産直EC・道の駅が普及、顔の見える米・麦の価値が上昇。
    → “規模の経済 × 銘柄・用途特化”の二刀流へ。


5|2010s:農地中間管理機構とスマート化の胎動 🤝📡

  • 制度:**農地中間管理機構(農地バンク, 2014)**で集積が加速。

  • スマート農業GNSSトラクター、可変施肥、ドローン散布、リモートセンシングの導入が始まる。

  • 気候変動対応:高温登熟で米の白未熟粒リスク増。耐暑・早生品種の選択や高温回避の作期調整が実務に。

  • 国際化:CPTPP等で穀物市場の目線が外へ。輸出米・加工米・飼料米などセグメントが細分化。
    → “データで作る”時代への入り口に立つ。


6|2020s:ウェルビーイングと脱炭素、レジリエンス経営へ 🌍

  • 消費トレンド:健康志向・グルテンバランス・雑穀ブレンド、玄米・もち麦人気で麦の存在感がUP。

  • 環境配慮メタン排出削減を意識した水管理(中干し・間断灌漑)、カバークロップ堆肥循環で土づくり。

  • データ統合圃場センサー×気象API×作業記録で、倒伏・病害・刈取期を“予測管理”。

  • リスク分散:米単作から麦・大豆・飼料作物を組み合わせた複合経営で収益安定。
    → “稼ぐ×環境×リスク管理”を両立する総合経営へと進化。


7|技術の変遷(米&麦)をギュッと要約 🧰

  • 土づくり:化学肥料偏重 → 有機・堆肥循環、土壌診断に基づく可変施肥へ。

  • 水管理(水稲):常時湛水 → 間断灌漑・湛水乾田化でメタン低減と根張りUP。

  • 防除:一斉散布 → ドローン・スポット散布、病害虫発生予測連動。

  • 収穫・乾燥調製:小型→大型・高効率、低温乾燥で食味保持。

  • 品種:食味・耐暑・耐倒伏・パン適性など機能別最適化が当たり前に。


8|地域別の特徴と戦略 🗺️

  • 北海道:大区画・排水性良→小麦×ばれいしょ×甜菜×米の大規模輪作。

  • 北陸・東北:高食味米+冬期の麦・大豆で水田フル稼働

  • 関東・東海:都市近郊需要を取り込み、**直販・加工(米粉・麦茶・クラフトビール原料)**が強い。

  • 西日本:高温対策・高温耐性品種、早期栽培・深水管理などの作期技術で勝負。


9|これからの勝ち筋🧭

  1. 輪作設計を“数字”で語る:米+麦+大豆の粗利・労働時間・機械稼働率を1枚に集約。

  2. 可変施肥・精密播種:タンパク・水分・千粒重の狙い値を決め、収穫後にフィードバック。

  3. 水管理DX:自動給水弁+水位センサーで中干し・AWDを再現、燃料代とメタンを同時に削減。

  4. ブランド化:米は単一圃場・単一品種・乾燥温度公開、麦は**用途契約(パン・麺・麦茶)**で差別化。

  5. 直販&物語:圃場写真・栽培暦・分析値(タンパク・食味値)を可視化して“信頼”を売る

  6. レジリエンス:保険・相対契約・在庫戦略で価格・天候リスクを分散。


10|KPI例📊

  • 反収(米・麦)/タンパク・水分の適正率

  • 可変施肥導入面積比率・窒素原単位(kgN/t)

  • 乾燥コスト(円/60kg)・燃料使用量(L/ha)

  • 直販比率・リピート率・返品率

  • メタン削減効果(推定値)・土壌有機炭素の年変化


11|二枚看板のこれから 🚀

麦と米は、

  • 量から質へ、単作から複合へ

  • 勘からデータへ、売り切りから関係性販売へ
    と確実に進化してきました。
    これからの鍵は、輪作×データ×環境の三位一体。
    「おいしさと持続性」を両立させ、地域と食卓に“安心の物語”を届ける農業がスタンダードになります。