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皆さんこんにちは!
小浜あぐり合同会社、更新担当の中西です。
~“変遷”~
日本の主食である米、そして輪作や冬作の柱である麦(小麦・大麦・はだか麦)。
二つの作物は、気候・制度・技術・消費トレンドの波を受けながら、地域ごとに最適解を探って進化してきました。
政策背景:食糧増産が国是。灌漑整備・圃場整備(区画拡大・基盤強化)が全国で加速。
機械化:手作業→動力耕うん機→トラクター、田植機・コンバインの普及で生産性が飛躍。
品種:米は「コシヒカリ」など多収・良食味系が普及。麦は耐倒伏・多収品種へ。
営農:東北~九州の水田地帯では**水稲+裏作麦(二毛作)**が一般的に。
→ ゴールは“量”。労働投入の削減と単収アップが至上命題でした。
転機:米の需要減で生産調整(減反、1970開始)。水田の多角利用(飼料作物、麦・大豆)が奨励。
品質シフト:量から食味へ。米は「あきたこまち」「ひとめぼれ」「きぬむすめ」など地域色が強化。
麦の役割:水田転作の受け皿として再評価。小麦・大麦の作付が拡大、乾田化・圃場排水の技術が進む。
93年の冷夏(平成の米騒動):供給リスクが可視化され、産地間連携と備蓄の重要性が共有。
→ “誰が・どこで・どんな品質を安定供給できるか”が競争軸に。
担い手集約:農地の貸借が進み、法人化・営農集団・担い手農家が台頭。北海道では大区画・超大規模の麦・米複合が定着。
ブランド米:「つや姫」「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」など銘柄戦略が花開く。
麦の転機:パン用小麦の品質向上(たんぱく・グルテン)やビール・焼酎原料として用途別契約が広がる。
販売:直販・産直EC・道の駅が普及、顔の見える米・麦の価値が上昇。
→ “規模の経済 × 銘柄・用途特化”の二刀流へ。
制度:**農地中間管理機構(農地バンク, 2014)**で集積が加速。
スマート農業:GNSSトラクター、可変施肥、ドローン散布、リモートセンシングの導入が始まる。
気候変動対応:高温登熟で米の白未熟粒リスク増。耐暑・早生品種の選択や高温回避の作期調整が実務に。
国際化:CPTPP等で穀物市場の目線が外へ。輸出米・加工米・飼料米などセグメントが細分化。
→ “データで作る”時代への入り口に立つ。
消費トレンド:健康志向・グルテンバランス・雑穀ブレンド、玄米・もち麦人気で麦の存在感がUP。
環境配慮:メタン排出削減を意識した水管理(中干し・間断灌漑)、カバークロップや堆肥循環で土づくり。
データ統合:圃場センサー×気象API×作業記録で、倒伏・病害・刈取期を“予測管理”。
リスク分散:米単作から麦・大豆・飼料作物を組み合わせた複合経営で収益安定。
→ “稼ぐ×環境×リスク管理”を両立する総合経営へと進化。
土づくり:化学肥料偏重 → 有機・堆肥循環、土壌診断に基づく可変施肥へ。
水管理(水稲):常時湛水 → 間断灌漑・湛水乾田化でメタン低減と根張りUP。
防除:一斉散布 → ドローン・スポット散布、病害虫発生予測連動。
収穫・乾燥調製:小型→大型・高効率、低温乾燥で食味保持。
品種:食味・耐暑・耐倒伏・パン適性など機能別最適化が当たり前に。
北海道:大区画・排水性良→小麦×ばれいしょ×甜菜×米の大規模輪作。
北陸・東北:高食味米+冬期の麦・大豆で水田フル稼働。
関東・東海:都市近郊需要を取り込み、**直販・加工(米粉・麦茶・クラフトビール原料)**が強い。
西日本:高温対策・高温耐性品種、早期栽培・深水管理などの作期技術で勝負。
輪作設計を“数字”で語る:米+麦+大豆の粗利・労働時間・機械稼働率を1枚に集約。
可変施肥・精密播種:タンパク・水分・千粒重の狙い値を決め、収穫後にフィードバック。
水管理DX:自動給水弁+水位センサーで中干し・AWDを再現、燃料代とメタンを同時に削減。
ブランド化:米は単一圃場・単一品種・乾燥温度公開、麦は**用途契約(パン・麺・麦茶)**で差別化。
直販&物語:圃場写真・栽培暦・分析値(タンパク・食味値)を可視化して“信頼”を売る。
レジリエンス:保険・相対契約・在庫戦略で価格・天候リスクを分散。
反収(米・麦)/タンパク・水分の適正率
可変施肥導入面積比率・窒素原単位(kgN/t)
乾燥コスト(円/60kg)・燃料使用量(L/ha)
直販比率・リピート率・返品率
メタン削減効果(推定値)・土壌有機炭素の年変化
麦と米は、
量から質へ、単作から複合へ、
勘からデータへ、売り切りから関係性販売へ、
と確実に進化してきました。
これからの鍵は、輪作×データ×環境の三位一体。
「おいしさと持続性」を両立させ、地域と食卓に“安心の物語”を届ける農業がスタンダードになります。