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皆さんこんにちは!
小浜あぐり合同会社、更新担当の中西です。
目次
国産小麦といえば、「うどん用」や「中力粉」のイメージが強いかもしれませんが、
実はここ数年で、“パンに適した国産小麦”の開発が大きく進化しているのをご存じでしょうか?
今回ご紹介するのは、西日本で栽培できる硬質小麦「ミナミノカオリ」。
パンはもちろん、中華麺や醤油の原料としても活躍するこの品種には、新たな国産農業の可能性が詰まっています。
「ミナミノカオリ」は、農研機構(旧:農業・食品産業技術総合研究機構)によって開発された、
**西日本向けの硬質小麦品種(パン用強力粉原料)**です。
その血筋はユニークで、アルゼンチン産の強力小麦を父系に持つことで、
温暖な日本南部でもしっかりと実り、しかも高タンパクな実をつけるという、
まさに「国産小麦の中でも異彩を放つ存在」です。
一般的な国産小麦は、タンパク質含有量がやや低く、パンづくりには不向きとされてきました。
しかしミナミノカオリは、
タンパク含量:12〜14%
グルテンの弾力性が高く、しっかりした膨らみを実現
噛みごたえ・香り・風味のバランスも◎
という特徴を持っており、**“国産小麦でもふっくらパンが焼ける”**と、ベーカリー業界や家庭パン職人から高く評価されています。
ミナミノカオリの活躍は、パンだけにとどまりません。
中華麺や素麺に使うと、コシのある弾力食感に仕上がる
強いグルテン構造で、のびにくく煮崩れにくい
小麦こうじとしても利用でき、醤油や味噌の発酵原料にも適性あり
つまり、「食卓のあらゆるシーン」に活用できる国産素材として、加工業者からの引き合いも強いのです。
農家目線でも、ミナミノカオリは魅力的な品種です。
暖地・中間地でも安定して栽培できる
倒伏に強く、収量も比較的良好
病害にも比較的強く、管理のしやすさも評価ポイント
これまで「北海道や東北でしか無理」とされていた強力小麦栽培が、九州・四国・関西などでも現実的にできるようになったのは、この品種の登場が大きいと言えます。
福岡県・佐賀県・香川県などでブランド小麦として普及中
「ミナミノカオリ100%食パン」「地元産バゲット」など商品化が進む
地元ベーカリーやラーメン店、醤油蔵との連携も拡大中
こうした取り組みは、地産地消・地元ブランド化・農業と加工業の連携強化という点でも非常に重要です。
「ミナミノカオリ」は、単なる新しい小麦品種ではありません。
それは、日本の南の大地から、パン文化を広げる起爆剤でもあります。
国産小麦の価値を見直し、
農業者・製パン業者・消費者が手を取り合って、
「安心・美味しい・地元の味」を一緒につくっていく。
そんな未来の食卓を描ける可能性を、この小麦は秘めているのです。
次回もお楽しみに!